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午後五時五十分の屋上にて

Category: 小ネタ  

三話ー。そのいち。 

やっぱ分割になったよ!

前回改行無さ過ぎて読みづらかったかも。
あと開業して一マス空けるの忘れてた。


赤鴉ちゃんとニレさんは七不思議の『第一期生』と『生徒会の倉庫』が関連していると知り、『倉庫』探しを始める



 
 再び七不思議解明のため、作戦会議。

 場所は食堂ではない。

 少し早い昼食の時間帯、食事中の人数は格段に少ないが、やはり朝に比べて人目はあるからだ。

 この学園の人数は300人と小規模なものである。しかし、千五百学園は閉鎖的な山の中の全寮制の学園。しかも一歩でも山林に足を踏み込めば電波も届かないような未開発の山の中。学園までたどり着くには、定期的に運行されている『スクールバス』かロープウェイを利用するのが一般的な立地である。そんな外界から遠い環境下において、身近な人々についてのは格好の娯楽である。

 ○年の■■が▽▽部の部長といい雰囲気だとか、□年の●●先生はかっこいいだとか、▼▼部の部長はかわいいだとか。そんな下世話の域の噂には事欠かない。

 特に赤鴉のような、童顔で出るべきところが出た体に、赤味の強い艶やかな髪を縦ロールのツインテールにした冷静真顔な『冷人』や、楡崎のような頬の下まで伸ばしたウェーブのかかった髪に切れ長の綺麗な顔をした『編入生』などは、いつどこで面倒な噂が立つともわからない。

 高等部での入学式で互いに面倒事は起こさないと約束した2人は、できるだけ人目を避けたいということで、自習日で誰もいない教室で作戦会議がてら昼食をとることにした。
客観的に見て逢引に違いないのだが、その点にツッコ(以下略



 眩しい夏の日差しが差し込む2人だけの教室。普段は教室や廊下から賑やかな話し声が聞こえるが、その喧騒が無くなるだけで別の場所になったように感じた。

「赤鴉ちゃん、あなた何買ったの?サンドイッチ」
 楡崎は赤鴉の手元を見ながら問いかける。赤鴉はえーと、と首を傾げてから楡崎の質問に答える。

「『渡辺惣治郎があなたに贈るサンドイッチシリーズ第二弾・潮風香るあの日の思い出~僕の気持ちを空き瓶に詰めてサンドしました~』だけ「ゴホッ」ど?大丈夫?急に咳き込んでどうしたのニレさん」

 かろうじて吹き出すことは堪えた。オネエの美学に反するためである。

「ゲホッ―――まさか気軽にサンドイッチの具材を訊いただけで呼吸困難になるほどの衝撃受けるとは思わなかったわ!何その長ったらしい映画のタイトルみたいな商品名は!?え、それ商品名よね!商品名に思いっきり個人名入ってるけど!渡辺さんって誰!」
「調理場のチーフ」
「あのティラミスサンドの人ね!納得したわ!惣一郎さんとおっしゃるのね疲れてるんじゃないの大丈夫!?ていうかツッコミが追いつかないんだけどこの作品が大丈夫!?」
 駄目かもしれない。
「頑張って!?」
「ニレさん誰と話してるの」

 赤鴉はといえば楡崎の叫びを完全にスルーして食事を続けている。ちなみに赤鴉が購入した『渡辺サンド』は、照り焼きサンドとポテトサラダサンド、ベリーサンドなどの各種詰め合わせである。
 赤鴉はその中からベリーサンドを選んで口に運ぶ。季節の果物を惜しみなく使い、生クリームと共に柔らかい白パンに挟まれたソレは、女子の間ではかなりの人気商品だ。実は使用されている生クリームも、果実独特の酸味を邪魔しないように、渡辺さんが特別に軽く作っているらしい。

 一口噛みしめれば、口内に甘酸っぱい味と焼きたてのパンの香りが広がる。人は本当に美味しいものを食べた時、自然と目を細めてしまうものだなと、赤鴉は咀嚼しながら上の空のことを考える。

「…本当に美味しそうに食べるわね」
「?」

 楡崎の方を見れば赤鴉の顔をじっと覗き込んでいる。

「普段からそういう顔してれば『冷人』だなんて言われないでしょうに」
「少々の退屈さえ我慢すれば、便利なんだけどね。人が寄ってこないってのも」
「そうは言ったって、これだけ閉鎖的な立地の学園よ?友人の一人や二人、いた方が便利じゃないの。教室変更だとかの連絡事項含め、情報的にも体面的にも」

 そう言って楡崎は自分の弁当に箸を伸ばす。赤鴉は次のサンドイッチに手を伸ばしながら答える。

「あまり不便は無いわよ。閉鎖的過ぎてね。
 これだけ同じ場所にいる時間が長いと、どう足掻いたって顔見知りの人間は増えていくもの。だから、その辺りにいる人に声を掛ければ快く教えてくれるわ。この学園の生徒って、良くも悪くも無邪気だし。だから特別親しい友人が居なくとも過ごしやすかったわ」

 そこまで言って、赤鴉はふと考え込み、一瞬二人の周りに静寂が降りてくる。



「ああ、でも、今はニレさんがいるから、そんなことも無くなったわね」




 今度こそ吹き出した。




 要は「ニレさんが居てくれてよかったわ」的な発言なわけで、初めて会った時にクレーンゲームの景品を取り合ったという思い出から始まる二人の関係に対してのコメントとしては、十分楡崎に衝撃を与えるものだった。
そんな楡崎の様子は総スルーして、赤鴉は話し続ける。

「とは言え、この学園のそういう無邪気さって、ちょっと不自然に思う時があるのよね」
赤鴉は細い顎に手を添え、眉根を寄せて深く考え込む。

「ニレさんは高校からコッチに来たんでしょ?その時に何も思わなかった?」
「…何って無邪気さってこと?」
「そう、無邪気さじゃなくても、変に距離が近いっていうか」

「…私の元居た学校が荒れてたから、私の感じたものがアンタと一緒とは限らないけど。
 そうね、転校生だってのに、微塵も警戒心見せずに皆して寄ってきて、初日からいきなりクラスの前に女子が集まってくるってのは変に無邪気って言うのかもね。
 あとは、成り行きで助けた後輩女子に日を置かずに突撃されたり、それをネタに絡まれたり、色々有るには有ったけど。ホント、フリーダムというか我が道を行くというか」
「それよ」
「どれよ」

 赤鴉は食べ終わったサンドイッチの容器を片付けながら、言葉を続ける。

「『警戒心見せずに皆して』ってとこ。それ以外はニレさんゆえに起こったことじゃない。そうじゃなくて、私が訊いてるのは『転校生』に対しての皆の反応についてよ。ああ、でもニレさんは結構早い段階から、私やエミカちゃんたちと話すようになったから、感じ難かったのかしら。」

 そこで赤鴉はペットボトルのお茶を一口飲んだ。

「私はこの学校に入学した時、先生にも先輩にも本当に良くして貰ったわ。一学期は校内だろうが寮だろうが、一人でウロウロしているだけで、道に迷ったの、とか、何か落としたの、とか声を掛けられたものよ。それは私だけじゃない。男女関係なく、容姿や交友関係に関係なく、誰もが誰にでも。そんな昔の田舎みたいな無邪気な近さが、この学園の『普通』であり、『校風』なんだと、最初は思っていた」

 その言葉に淀みは無く、ずっと頭の中で考えて居たことなのだと思わせる。

「でも、途中から、というか、他の新入生がある程度の人間関係を作り終えても、私だけがどこにも属さず、単独行動していた時から、そうとも思えなくなってきた」

 そこで一旦赤鴉は言葉を切って、楡崎の様子をうかがう。そんなことは無かった?と問いかけるように。赤鴉自身に確固たる確信があるわけでなく、ただの印象に近いものなのだろう。

「どう思えて来たっていうの?」
 答える考えも無かったので、楡崎が静かな声で先を促すと、赤鴉はゆっくりと話し始めた。

「普通、入学して一月も経てば、新入生に対する上級生たちの気遣いって薄れるものじゃない?そうじゃなくても、何割かは興味をなくしたり、仲良くなる気なんか無くて、逆に警戒したりする人も居たっていいじゃない。それに、上級生や先生だって新しい年度は暇なわけじゃないでしょう。私みたいに独りで居たがってる人間に、皆がみんな、いちいち気を遣ってられないはずよ。
 でも、どこにも所属しなかった私に対する、上級生やら先生達の態度って、ホントにずーーーっと変わらないの。
 自分のグループに入ってほしいだとか、勉強を頑張ってほしいだとか、特別私に何かを期待している訳じゃないの。ただひたすら、この学園での生活に不便が無いよう、気を使ってくれるの。
 

  見張られている気分だったわ」


 そんな周りの態度に耐え切れなくて、二学期から合唱部に所属したのだと、赤鴉は話を締めくくった。

「…にわかに信じがたい話だけど。なぁに?この学園の無邪気っていう『校風』は、親切に見せかけて近くで人を見張るためだっていうの?いくら探偵志望でも、陰謀説を推しすぎじゃない?」
 確かに、この学園の生徒には警戒心や無関心がほとんどなく、人に近づくことを躊躇わない。楡崎もそれは感じた。しかしそう感じるのは楡崎の母校がいささか荒れていたための相対的な心証で、田舎の辺鄙な場所にある閉鎖的な学園ならこんなものか、と考えていた。

 陰謀説と言われて赤鴉は首を振る。
「陰謀だなんて言ってないわ。そんな意識的なものじゃない。私が感じた変な無邪気さは、『校風』と感じられるほど、ほぼ全員の生徒に行き渡っている心理で、しかも空を掴むように実態を伴わないものだわ」
 赤鴉の言葉は静かに二人だけの教室に溶けていった。

 赤鴉が言うには、この学園の誰もが気付かないうちに『変に無邪気』になっているという。ただ人と人の距離が近いだけなら、それは微笑ましいものだろう。しかし『変』なのだ。
 例えば、自分と大して縁のない新入生に対して、学生生活に慣れるまで延々と気を遣い続ける上級生と教師というのは、果たして一般的なのか。十代の青春に忙しい学生や、そんな人間の面倒を何十人と見なければならない教師は、そこまで模範的に親切でいられるものだろうか。その親身な態度の真意は確かに善意か。

 そこまで考えて楡崎は「見張られている」という言葉にゾッとした。

 この学園は何か変だ。



  カツ、カツ、カツ、カツ




 何者かの、足音。


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 2015_02_27


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