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午後五時五十分の屋上にて

Category: 小ネタ  

第二話ー

赤鴉ちゃんとニレさんが夏休みに七不思議を解明しようとする話。
深刻なツッコミ不足

一度データが飛んで泣きそうになりました。
 
【2 第一期生の謎】


広い食堂である。
料理のおいしそうな香り、掃除の行き届いた壁と床、広い窓からは眩しい朝日が入ってくる。
普段のこの時間帯は朝食をとる学生で賑わっているのだが、三百人は入るであろう食堂は現在がらんとしている。それというのも、今日は試験直後の自習日なのだ。そんな実質的休日に、勉強から解放された高校生中学生が早寝早起きをするわけもなく、今食堂内にいるのは赤鴉と楡崎の2人、だけである。

赤鴉が指定してきたこの時間帯は、人もまばらで作戦会議には持って来いだった。
なにしろ山の上の閉鎖社会である千五百学園では、下手に男女が一緒にいるところを見られれば光速で噂の対象となってしまう。特に赤鴉や楡崎のように目立つ容姿を持つ人間は格好の餌食なので、細心の注意が必要だ。

「空いてると並ばなくていいから楽よね」
「そうね。ニレさん見て。ティラミスサンドが残ってたわ」
「挟んだの!?ティラミスを!?」
「ちがうわよ。コーヒーテイストのパンにクリームを挟んだデザートサンドよ」
「ああ…なるほどね、コーヒーでヒッタヒタになったパンでも売ってるのかと思ったわ」
「そんなトチ狂ったことしないわよ。そういえば、他にもマヨネーズパンとか、ごはんサンドとかも残ってたわよ?せっかくだから取ってきたら?」
「きっちりトチ狂ったラインナップじゃないの!名前からして嫌な予感しかしないわよ!しかもそれ人気なの!?」
「調理場のチーフが気まぐれで作るらしいわ。ちゃんと美味しいわよ。大体世の中には、指折りの猛者しか手に入れられない揚げパンが売られている学校食堂もあるのよ?ここはまだ普通だわ」
「指折りの猛者がいる時点で普通の学校じゃないわよっ。赤鴉ちゃんあなた感覚麻痺してない!?作者のせい!?」

人がいないのをいい事に、楡崎と赤鴉は素(とメタ発言)を全開にしている。
これでも普段の赤鴉は冷たい人と書いて『冷人』、楡崎はクールな美少年として通っているのだが。


「でねニレさん。七不思議についてはどれだけ知ってるの?」
ティラミスサンドを齧りながら赤鴉が楡崎に問いかける。右手では稲妻のチャームがついたオレンジ色のペンを回している。
赤鴉の初恋の人はオレンジ色をトレードマークにし、探偵という荒事もこなす職業柄強力なスタンガンを持ち歩いているらしい。明らかに件の探偵を意識したデザインの赤鴉のペンに、楡崎は眉根を寄せつつ、それを気にする自分にため息をつく。

「七不思議ね…。全部については知らないけど、創立者だったか第一期生だったかの謎が一つあったんじゃなかったかしら」
「ああ、それね」
赤鴉は手元のメモ帳に『七不思議  一つ目』と書きつける
「この学園の創立についての謎のことだわ。今でこそ、山を下りれば駅前に商店街に行けるけれど、二十年前は当初は山のふもとに無人駅が一つあるだけのド田舎だったらしいわ。そんな辺鄙な山の上に、道やらライフラインやらを整えてまで学校を立て理由は?っていう謎ね。
噂では、とある資産家がボランティア精神で作ったとか、とある財閥のトップが自分の娘に悪い虫がつかないように作ったとか、はたまた目的は生徒ではなく先生で、財界やら政界の鼻つまみ者をこの学校の教師として放り込むためだとか」

その他まことしやかに生徒間で流れている噂を楡崎に紹介し、最後に「全部根も葉もない噂だけれど」という言葉で締めくくった。

「結構すでに調べてるじゃない」
「勝手に聞こえてくるのよ。ここでは噂って一種の娯楽なの。春は新入生についての噂でもちきりだし、夏は肝試しや怪談についての噂が出回るし、秋は文化祭やら体育祭やらの部活関係ね。冬は進学ね。年中流行ってるのが恋バナだけど」
「なるほど。下手に人数が少ない閉鎖社会だから身内話が盛り上がるのね。友達の友達を辿っていけばすぐに噂の渦中や『有名人』に出会えるからってことで、手ごろなんだわ」

「そういうこと。だから七不思議は謎というより、語り継がれてきた噂…伝承と言っていいわ。
 ね、面白そうでしょう?」
「まーね。興味はなくもないわ。で?他にはどんな謎があるの」

赤鴉は黙ってメモ帳を見せる。
先ほど創立の謎についての噂を話す一方で、手は全く別の意志で動き、七不思議のリスト完成させていた。

(器用なもんよね)

そう思いながら楡崎はメモ帳を覗き込んだ。

七不思議
  一つ目 第一期生(もしくは創立者)の謎
  二つ目 誰も見たことない理事長
  三つ目 夜間棟の男子生徒の幽霊
  四つ目 銭湯の人影
  五つ目 トイレの花子さん
  六つ目 生徒会の倉庫
  七つ目 アカガミ様

「ちなみにこの順番の意味は?」
「噂が出始めた順番ね。ただ、はっきり時期が分かっているのは最初と最後だけ。残りの五つの成立時期はほんとに噂の域を出ないわ」



その後、二人は朝食を食べながら、どの七不思議から解明しようかと話し合った。
その結果、一番簡単そうな『一期生の謎』を最初の一歩にするととした。

「確か図書館に毎年の卒業アルバムがあるはずよ」
「そうね、まずは図書館で一期生のメンバーを調べて、そこから創立の理由を調べましょ」

そうして二人は作戦会議と朝食を終えた。









そんな二人を食堂の入り口からこっそり見守る不審者が一名――――。

「こ、こんな朝早くに二人で何を話しているんだ…?まさか二人で、で、ででデ、デートの算段でも…?」
千五百学園高等部 一年生 委員長。特徴 メガネ
赤鴉に絶賛片思い中の健全な男子学生である。
楡崎のオネエ言葉に動じない程度には2人と縁のある人物である。



さらに食堂の窓の向こうから、赤鴉と楡崎の様子をうかがう不審者セカンド――――。

「お、オネエ様…!昨日デートに誘ったときは断ったのに…!ハッ!まさかこの密会のため…!?」
千五百学園中等部 三年生 エミカ。特徴 アホの子
赤鴉の合唱部での後輩であり、オネエな楡崎に絶賛片思い中の健全な女子学生である。
楡崎のオネエ言葉に動じない(以下略


そしてそんなエミカ嬢を木の陰から見守る不審者御一行様――――
「あの彼女の熱視線…!何故だ…!この文武両道・博識好学な私の方がよほど…!」
「副会長、そんな歯ぎしりしてたら奥歯が削れちゃいますよ」
「そうですよ、あとこんな暑いのに、そんな汗垂らしてたら脱水症状になっちゃいます」
「そうだ水まんじゅう食べますか?」
「おい誰か俺のコーラ知らない?」
「あ、その漫画、次は俺に回してくれ」
「後ろに行くほど不真面目だなお前ら!?」
「好きな子ウォッチングに真面目も不真面目も無いでしょう…」
千五百学園高等部 二年生 生徒会副会長。特徴 暴走
エミカに絶賛片思い中の健全な男子学生である
そしてその取り巻きの面々(多学年混合)。特徴 暴走
そんな彼らは楡崎の(以下略


そんな様々な人間の思惑が入り乱れる中、赤鴉と楡崎の七不思議解明は始まった。


*******


「無い…!」

試験直後の人気のない図書館。
楡崎と赤鴉が、学園第一期生の卒業アルバムを探し初めて早一時間。
しかしどう探しても見つからない。12年前までのアルバムは確かに棚にある。だがアルバムの並びはそこで終わっており、他のどの棚を探しても、その続きが見当たらない。
念のため図書館内の全てを見て回ったが、特徴的な黄色い背表紙は見当たらなかった。

「…おかしいわね…これだけ探しても無いってどういうことなの」
「もう探してない棚はないわよね」
一旦図書館を出て、二人はジュースで疲労を癒している。
一時間以上、広い図書館の中を見落としの無いよう集中しながら、時には下段の棚を見るために中腰になりながら、目的のアルバムを探し続けた。しかしその苦労が報われる事は今のところない。
これ以上図書館でアルバム探索を続けても収穫があるとは思えない。アルバムについての情報収集に目的をシフトするか、いっそ一つ目の謎は諦めるか。二人はそんな岐路に立っていた。

「「……」」


無言で2人の視線が交錯する。
まさか七不思議解明の一つ目で躓くとは、という言外の心労を互いの表情で確かめあう。
この謎は保留にして次の謎に挑もうか、とどちらからともなく口を開いた時、

「お困りのようだな貴様たち!!!」

ドドン!と二人の前に現れたのは、朝の不審者御一行様の先頭・生徒会副会長である。
そして後ろで申し訳なさそうな顔をしているのは取り巻き達だ。
「いやなんかお久しぶりです。」
「すいませんウチのバk…副会長が」
「決してエミカ嬢を見失ったから絡みに来たわけじゃないんです」
「ほらエミカ嬢って俊足だから…あとこの人結構チキンで追うタイミングが遅くなっちゃって」
「でもまあ、エミカ嬢の行動理由が明らかに姐さんなんで…エミカ嬢の行方の手がかりになりそうなこと教えてくれたらな、って」
「よろしければ水まんじゅうでも如何ですか」

「…アンタたちも大変ねぇ」
「残念だけど、今日はエミカちゃんには会ってないわよ」
手土産の水まんじゅうがきいたのか、楡崎と赤鴉の対応はなかなか柔らかい。

「おい貴様ら!私の話を無視するんじゃない!俺はお前ら困ってるようだから話しかけたんだぞ!?」

「はいはい」
そこで、ふと赤鴉は思いついたように副会長に話しかけた。
「ねえ副会長、この学園の卒業アルバムが12年前のものから見当たらないのだけど、知らない?」
「アルバム?」
これでも学園内の権威組織の副会長である副会長は、腕を組みながらうーんとうなり始めた。
そして、スラスラと事の真相を話し始めた。

「アルバム…たしか卒業アルバムは、13年前まで注文制だったんだ。かなり装飾の凝ったアルバムで高価だったんでな。学園の写真部協力の元、注文した個人に合わせてクラス写真やら部活写真をカスタマイズしてたんだ。確か。それが12年前に、それじゃあ生徒の経済事情で差別することになるからと、共通の安い…というか普通の卒業アルバムに変更されたんだ。だから、12年以上前のアルバムは図書館に保管されてないはずだ」

辺りにしばらく沈黙が降りる。
誰もが副会長の方をぽかんと見ている。

「お、おいどうした?」
「…ふ、副会長が」
取り巻きの一人が、つっかえつっかえ全員の心情を代弁する。
「な、なんだ」
「賢そうに見える…!」


そのあと副会長が「貴様ら今まで俺の何を見ていたんだ!」怒り始め、素直に「暴走ッス」と答えてしまった取り巻きを追いかけるという一幕があった。

そんな騒がしい御一行様は放置して、楡崎と赤鴉は作戦会議を始める。
「なるほどそういう事だったのね。通りで見つからないはずだわ」
「となると、卒業アルバムから第一期生について調べるのは無理ね」
つまり一時間以上の苦労は水の泡となり、振出しに戻ったいう事だ。隠し切れない疲労感に二人でため息をついていると

「あ、そうだお二方」

取り巻きの一人が話しかけてきた。
「なんでも、十数年前まで、生徒会は卒業アルバムの編集の仕事もやってたそうですよ?副会長が言ってました。卒業アルバムなら、もしかしたら『生徒会室の倉庫』にサンプルとか残ってるかもしれませんよ」
まあ『倉庫』って言っても七不思議の一つなんで保証はできないですけど、とそう言って取り巻きの一人は暴走中の副課長の方へ走って行った。

「思わぬところで他の七不思議に繋がっちゃったわね。ニレさんこれからどうする?」
「ま、生徒会室に行くのが正攻法ね。一気に二つの謎が解決するなら、それに越したことはないわ。……あとあの副会長について一つ物申しておきたいしね…」
「後半が本音ね」


【第一期生の謎  ―― 保留 ――】
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