スポンサーサイト

Category: スポンサー広告  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 --_--_--


午後五時五十分の屋上にて

Category: 小ネタ  

キャラ交換しようぜ企画第2だーん

設定はMiche工房の『SEQUIA&NIREZAKIinCHIIHOhighschool』と同じです。

多分読んでなくてもわかる程度に説明はいれているはず。でもたぶん読んで頂いていた方がネタはわかりやすいかと。


季節外れの初夏の話



 
【1 プロローグ】

教室のドアを開けた途端、湿気を含んだ暑い空気が身体を撫でていった。
梅雨明け宣言が発表されてからというもの、昼間の気温は日に日に上がっている。

楡崎 千景(にれざき ちかげ)は男子にしては長めの髪を片手でかきあげ、帰寮すべく昇降口に足を向けた。寮は教室の窓から見下ろすことができる。
『見下ろすことができる』というが、何も楡崎の教室が六階や七階という高層に立地しているわけではない。ひとえに楡崎が在籍している学園の立地自体の問題である。
この私立千五百(ちいほ)学園は中等部と高等部からなる、生徒自治をモットーとした学校法人である。生徒数は現在300人程度、一学年人クラスという小規模な学園であるが、この学園を立てた創立者なる人物がかなりの変人らしく、学校を辺鄙な山の上に丸々作ったのである。丸々というのは大げさでなく、校舎や寮に始まり、人材や水道・ガス・電気・通信といったライフライン、果てには道やらロープウェイまで、全てを一から作ったらしい。何故作ったかは謎だ。
そして、かなりの資金投入の末に創立されたのだから、入学金や授業料がさぞや高いのだろうと思われがちだが、意外にも私立の平均を下回る。これも謎の一つ。
さらに、千五百学園は学ぶ姿勢について寛大だった。その代表が高等部の昼夜間定時制コースだろう。このコースでは昼間に働き、夜に学ぶことで四年かけて高等部を卒業することもできるし、昼間に通常の授業と合わせて仏語や中国語、その他専門技能の教科を受けることもできるというフリーダムっぷりである。何故そこまでするのかも謎だ。

以上のような学生にとって天国とも言える体勢と環境に合わせて、趣のある赤レンガ校舎やビジネスホテル並みの清潔で整備された寮。これで生徒が集まらないはずはなく、遠方から入学を希望する者も多い。

高校から編入した楡崎もその一人である。
クラスのほとんどが内部進学で持ち上がり、しかも一学年一クラスのため、入学前から友達グループがすでに出来上がっている。そのためクラス内の雰囲気は中学四年生といった空気である。入学当初、楡崎はその完成された人間関係の中に自分の居場所を作る苦労を思うとげんなりしたものだった。

しかし楡崎の心配していた苦労はほとんどなく、むしろ同級生や先輩や後輩たちから物珍しい編入生としてグイグイ押される日々である。

(良くも悪くも無邪気なのは校風ゆえか…)

そんなことを思いながら校舎を出たところで、見知った後ろ姿が目に入った。
身長は150㎝代という小学校高学年並みの背丈と、小学生ではすまない凹凸の体。
何より特徴的なのは、赤味がかった長い髪を縦巻きにし、頭の両サイドから垂らしているツインテール。

「赤鴉ちゃんじゃない」
呼びかけると、ツインテールを揺らして振り返った。
顔立ちは幼ないが、浮かべる表情は無表情にとも言えるような冷めたものである。

「あらニレさん。思ったよりも早かったのね」
表情を変えることなく、赤鴉は楡崎に応える。

「そーね。まったく勘弁してほしいもんよ」

赤鴉の無表情に楡崎が臆することもなければ、楡崎の女言葉に赤鴉が頓着する様子もない。その自然な雰囲気が、二人の付き合いの深さをうかがわせた。

「試験終わりに告白の呼び出しなんて、相変わらずモテモテね ニレさん」
「茶化さないでちょうだい。あんただって昨日呼び出し受けてたでしょうが」
「そんなこともあったわね。そういえば、合唱部の後輩からもされたわ。告白ラッシュって感じ」
しれっと赤鴉は今思い出したように答える。
その素気無い態度に、楡崎は赤鴉に告白した生徒の傷心を思い浮かべた。おそらく、いつもの表情で冷やかに断ったのだろう。
「…この告白ラッシュは学年ごとに試験日程が違うからでしょうね。下校時間がばらけるし、他の人たちはさっさと勉強しに帰るから人口密度も少なくなる。だから奥手な人間にとって、この時期としてはシーズンなんだわ。でもそんな日に告白しようだなんて、試験に集中できるのかしら」

そういいながら二人は連れ立って歩き出す。

「ニレさん、随分と真面目な考察するのね」
「何よ。あんたの考えは違うっての赤鴉ちゃん」

横を歩く赤鴉に問いかけると、珍しく赤鴉が言いよどむ。

「…明日から夏休みだもの。そしてあたし達は寮住まい。勿論、実家に帰る生徒が大半だけど、夏休みの最初から最後まで実家に帰らなきゃならないわけでもないわ。それに、ここにいれば衣食住も困らないし、うるさい親もいない」
ああ、と楡崎は遅ればせながら了解する。

「この時期に恋人が出来れば、すぐにでも色々できるってこと」
「…ニレさん、デリカシーと恥じらいを失くしたらオバサンまっしぐらよ…?」
「別にガキの好いた張ったに恥じらうことないわよ」

赤鴉がナチュラルに男子生徒である楡崎の行く末をオバサンとしたことやガキと呼ばれる年齢に楡崎が当てはまっていることにツッコミを入れる人間はなく、二人の会話は進んでいく。

「で?」
「で?って何よ赤鴉ちゃん」
唐突な問いに意味が分からず、覗き込むように赤鴉の方を見る。
「ニレさんはどうするの?夏休み」
対して赤鴉はそれに臆することなく見返す。遠目に見れはキスシーンに見えなくもない体勢だが、その点にツッコミを入れる人間は(以下略

「そうねー」
楡崎は顔を空へ向けて大きく伸びをした。
「せっかくテストも終わって、うるさい親もいないことだし、しばらく遊んでから帰ろうかしら」
「だったら、ニレさん」
赤鴉が楡崎の前をさえぎるように立つ。立ちはだかるといっていい。
いつもは無表情な顔に、実に楽しげな笑みを浮かべ赤鴉は言う。
「学校の課題で自由研究があったでしょ?あれを一緒にしない?ほら、『学園についてなんでもいいから調べなさい』っていう」
赤鴉の珍しい笑みに嫌な予感を感じる。
「イヤそれ『現在の学園について、改善すべきと考える点についてレポート作成しなさい』ってやつでしょう。フリーダムなこの学園で自由主義が行き過ぎて怠惰や傲慢にならないように、ってことで。至極真面目な課題よ?」
「建前よそんなの。この課題、全校生徒に毎年出されてるから、もはやネタ切れもいいとこなのよ。何書いたって昔のネタと被るから、最近では『食堂のとんかつの揚げ時間について』っていうのですらOKなの」
「…つまり自律を促すっていう最初の目的はとうに形骸化してるってこと?」
「その通り」
だからね、ニレさん、と赤鴉は続ける。

「一緒に七不思議を「寝言は寝ておっしゃい」……。」

セリフをさえぎられた赤鴉は不満げに眉根を寄せる。

「んもう、そんな不満げな顔しないでちょうだい。いいこと?学園に七不思議についてどんな改善点を投げかけるてっいうのよ投げかけられた方が可哀そうだわ。大体四月に自分が言ったことを思い出しなさい。お互い波風を立てない騒がない。面倒事になりそうなことは、徹底して避ける!変に目立ちそうなレポート内容にするんじゃなくて、ありがちな生徒会でも部活でも学校施設の話でも書いとけばいいじゃない」

言い聞かせるように言葉を紡ぐが、赤鴉は納得していない。

「分かってるわよ。でも七不思議を調べるってことは、この学園の歴史を調べるということだわ。調べていくうちにレポート向きのネタも拾えるわよ」
「……」
要は面白くもなさそうな課題に、遊びの要素を加えて臨みたいのだ。赤鴉は。
そしてしばらく睨み合った末、楡崎が折れた。

「……いいわよ。私も楽しーこと好きだしね。でも厄介ごとになりそうだったらアタシは手を引かせてもらうからね」
楡崎は条件付きで赤鴉の遊びに付き合うことにした。

楡崎とて七不思議に微塵も興味がないわけではないし、一つのことを突き詰めるために動くのは嫌いではない。
何かを追い詰めて暴く、というのは楡崎の性にあっている。
それでも赤鴉の遊びに乗り気でないのは、赤鴉がこの「調べもの」という行為に夢中になる理由が原因だった。
それというのも、赤鴉の初恋(現在進行形)の相手は探偵であり、さらに将来をその方面に見据えているというのだ。この「調べ物」を思いついた発端は、十中八九そのあたりにあるだろう。
楡崎自身にもうまく説明できないが、赤鴉が叶いもしない初恋を行動の中核に据えているこの現状がとにかく気に食わない。
しかしそれを赤鴉に告げるわけにはいかないので、結果敵に深いため息をついて終わる。
そんな楡崎の心の揺らぎに気付くことなく、赤鴉は上機嫌に歩みを進める。

「じゃあ明日、食堂でね」

話しているうちに寮の前に着き、赤鴉は手を振りながら女子寮に入っていった。
楡崎は手を振り返し、ため息をついた。


続く

次回は明日うp予定
スポンサーサイト
 2015_02_11


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


10  « 2017_11 »  12

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

プロフィール

章羅 帆湯無

Author:章羅 帆湯無
FC2ブログへようこそ!

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR




PAGE
TOP.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。