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お題 (2)

Category: 小ネタ  

遅く成りまして…

ていうか広告出てましたね

とりあえずこの話はまだ続きます。

引き続き誤字脱字ありましたら教えてください











 
役場に入ると、中では役場の人たちが忙しそうに歩き回っていました。
2人は受け付けに歩いて行って、ピエールさんに挨拶をしてわけを話しました。

ピエールさんは笑ってうなずいて、奥から先週の新聞をとってきてくれました。

「これが先週の新聞だ。そこの台を机代わりにして書くといいよ。」

ピエールさんがペンで指した台というのは、いつもは大人達が何かの申請書だとか、手紙の宛先だとかを書く台でしたから、二人は目いっぱい背伸びをしなくてはいけませんでした。
そうやって2人が新聞を写していると、役場にやってきた人々が次々と2人に話しかけます。

「ごきげんようお2人さん。早くしないと日が暮れるよ。」

「やあ、ハンナ。親父さんによろしく言っておいてくれ。」

「あら2人とも何やってるの。学校の宿題?まあまあ勤勉で良いことね。」

「よおポイカ、イザは今晩『夢酔い町』を弾いてくれるように頼んどいてくれよ?なあ相棒。」

「ああ、もしも俺たちが感動して泣いちまったなら、一杯おごってやるさ!」

「お前、『夢酔い町』はダンス曲だろうがよ!」

「かわまねえよ!あいつは、酒はワインどころかミルクだって飲めねえさ!」

「確かになあ!あいつは弾いても唄っても何も飲まねえ!!」

ははは…と猟師達は笑い声をあげながら役場を出ていきました。

ポイカは2人の笑い声とイザの静かに押し殺したような笑い声が、ポイカの頭の中で一緒に響いているような気がして、ポイカは胸の奥が冷たくなるのです。

「気にすることないわポイカ」

ハンナは声を潜めて言ってくれましたが、ポイカは黙って頷くことしかできませんでした。






外に出ると夕日はもうすぐ見えなくなるところです。街の東の河原はもう月夜でしょうか。

ポイカとハンナはどちらが何を言うでもなく、早足で歩き始めました。

しばらく二人は会話もせずにひたすら家を目指しました。ポイカの家は町と林の境目に、ハンナの家は教会の近くにありますから、商店街までは一緒です。

「ねえ、ポイカ。あなたはこの町に来る前はどんなところにいたの?あなたの髪や目の色は、ガラスよりも水面よりも透きとおっているわ。けれど時々光や涙の加減かしら、ちらちら紫色の波も見えるの。きっとこの国とは別の国の血が入っているのでしょうね。」

ポイカは自分の前髪を人差し指と親指で摘まんで、夕日にかざしてみました。髪は山の向こうの夕日を透かしたような赤色に染まっていました。

「僕はここから、ずっとずっと北の国で生まれました。でもそこにいたのはちょっとの間だけで、生まれてすぐにイザと旅に出ましたので、生まれた国や街のことは覚えてませんね。覚えていたとしても昔の話ですから、きっと今とは全然違うようになっていると思いますよ。」

「そうなの。けれどきっと北の国というからには、冬にはたくさんの雪が降るのでしょうね!お父さんが言ってらしたわ」

「ええ、そうらしいです。イザに聞きましたが、北の国ではたくさんのベリーが育つのだそうです。今はワインを飲みますが、あちらでは葡萄が育たないのでブルーベリーなんかの、寒いところでも育つベリーを使ってベリー酒を作るんです。ハンナはリンゴンベリーやクラウドベリーは聞いたことありますか?」

「いいえ!今初めて聞いたわポイカ!すごいのね、ほかの国にはパンに入れるのじゃなくて、お酒にするのね!ふふ、パンに入れてくれれば私やポイカも食べられるのに!大人ってお酒が好きなのだわ」

「そうですね、僕もイザにその話を初めて聞いた時は、なんでわざわざお酒にするんだろう、って思いましたよ。」



それから2人は笑いあいながら坂を下って行き、2人が帰るのに使う道の重なっている端までやってきました。その頃にはもう、夕日はちょうど真ん中の辺りまで山に隠れていました。

「じゃあね、ポイカ!林の中は暗いから足元に気を付けて」

「ありがとうハンナ。ハンナも真っ暗になってしまう前に、早く家に戻ってくださいね。」

そこでアンナはふと、ポイカに振っていた手を止めて、じっとポイカの顔を覗き込みました。

「ハンナ。どうかしましたか、僕の顔に何かついていますか?」

ポイカに話しかけられて、アンナは「あ」と小さくつぶやきました。ポイカはハンナが話すのを待ちました。

「ポイカ、あなたの目は暗がりだと、イザの瞳の色に少し似るのね。やっぱり親子だわ。それだけよ驚かせてごめんなさいポイカ」

「いえ、だいじょうぶです」

ポイカはのどが渇いて引っ付いてしまって、声にできたかどうかわかりませんでした。それでも、口の中の唾をぐっと飲み込んで言いました。

「自分の目は自分で見られませんから、気づきませんでした。僕の瞳はイザと似ていたのですね。アンナのお父さんは確か茶色の目でしたが、ハンナの瞳は黒色ですね。お母さんに似たのでしょうか」

「あら、ポイカ。私のお父さんと会ったことがあるの?」

少し驚いたようにハンナは言いました。

「はい、初めてこの町に来た時にお会いしました。さあ、ハンナ、夕日の大方が山に隠れてしまいました。早く家に戻りましょう。」

「そうね。ではまた明日ね、ポイカ!」

「また明日!良い夢を!」

ポイカは手を振りました。
ハンナが手を振りかえして、自分の帰り道の方を向いてから見えなくなるまで、ずっとその姿をポイカは見守っていました。
ハンナが道の角を曲がって見えなくなると、ポイカは振り返って全速力で林の中に続く道を走り出しました。

ザリザリと靴の裏で軋む地面を感じながら、ポイカは息ができなくなるのではないかと思うくらい苦しくなるまでずっと走りました。

目の前に小川が流れていて、少しばかり冷たい風が、赤くなったポイカの頬を撫でました。ポイカは水際まで止まることなく走っていき、ひざをついて小川を見下ろしました。
しばらく無言で水面に写る自分を見てから、ポイカはため息をついて立ち上がりました

「やはり小川だと、自分の瞳の色なんて見えませんね。」

小川の水面は絶え間なくうねり、ポイカの顔はひどくゆがんで写っていました。







役所であった猟師さんたちは悪い人達ではないです

思ってることや聞いたことをそのまま疑ったりためらったりせず、ズバズバ言う人たちなので、イザが初めて酒場に現れた時には、一番最初に物怖じせず話しかけました。

良くも悪くも素朴な人たちです




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 2013_05_07


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